早十昊平のボーカルコーチング_007
今日取り上げる曲は
福山雅治さんの
「You」
です。
今日はAメロの部分を題材に
お話ししますので、
「忘れてしまおう
もうすべて
ねむりはやさしい
そう唄を」
あたりまで聞いてください。
今日は
“ひとつの単語は
気持ちをつなげる。
“ひとつの単語は
気持ちを切らさない”
というテーマで
お話しします。
出だしの歌詞は
『忘れてしまおう
もうすべて
ねむりはやさしい
そう唄を』
です。
この表記を変えてみます。
『わ〜すれて し〜まおう
もう す〜べて
ね〜むりは や〜さしい
そう うたを』
これを見ながら
もう一度聞いてみて下さい。
『わ〜すれて し〜まおう
もう す〜べて
ね〜むりは や〜さしい
そう うたを』
このように歌っています。
この
『〜』
の部分に、
言葉(歌詞)を伝える
見落としがちな
テクニックがあります。
『わ〜すれて』は
「忘れて」という
ひとつの単語ですので
繋げたほうが良いです。
これを、
「わ〜、 すれて」
と
「わ~」と「す」間に、
音の途切れが入るように歌うと、
単語が途切れます。
ここを繋げるのか繋げないかで、
印象が全然変わるのです。
繋げないと意味が伝わらない、、、、
と言うと、言い過ぎな気もしますが、
聴く人に日本語を自然に伝える
のであれば、
途切れない方がベターです。
もう一度、
この事に注意して、
聞いてみて下さい。
『わ〜すれて し〜まおう
もう す〜べて
ね〜むりは や〜さしい
そう うたを』
切れそうで切れない、
絶妙な間(ま)で
『わ』から『すれて』へと
繋げているのが分かりますか?
実は、
この曲を聴いた時、
イヤホンを付けて
歩きながら聴いていたのですが
「あれ、途切れてる?」
「いやいや、ぎりぎり繋がってる」
と、わざわざ立ち止まって
何度も聞き返してしまいました。
そのぐらい絶妙な間隔と感覚で
歌っているんです。
「なんだそんなことか、、、」
と思うかもしれませんが、
こういう細かいところに
気を配れるかどうか、
その積み重ねが
素晴らしい歌へと
つながっていきます。
このテクニックそのものは、
言われてみれば
たいしたテクではないのですが、
気付けているだけで
歌へのアプローチが変わります。
(雰囲気を出そうとして
単語を切り刻んでしまう人は多いです)
もちろん、
必ずしも、
繋げる事がBESTな選択、
とは言えません。
メロディーによっては、
途切れてしまう事もありますし、
わざと途切れさせるのも、
それはそれで表現の一つです。
スロー、ミディアムテンポの
バラードではなく
テンポの速い曲では、
途切れても良い可能性は
高くなると思います。
私、個人としては、
途切れ途切れ歌うのは、
「自分に酔いすぎ」
と思ってしまう事が多いですね。
「その言葉(単語)、切らなきゃダメ?」
って歌い手さんに聞くことも多いです。
それと、この歌でもう1か所、
テクニックが使われています。
『もう す〜ぅべて』
の「べ」の直前で、
「う」の母音を
押し込んでいます(言い直してます)
「(小さい)ぅ」の部分です。
この力加減も絶妙ですよね。
強すぎるとカッコつけすぎ、
弱すぎると入れる意味がない
そんな気がします。
こういう所で、
色気が増して、
女性がメロメロになるのでしょうか(笑)
“声が男前”な人はうらやましいですね。
(福山雅治は全てが男前ですけど・・・)
歌にも異性にも、
細かい気配りは大事です(笑)
ではまた!
このブログは、録音エンジニアで音響家の早十昊平が、人様の歌に好き勝手にケチをつける、、、じゃなかった、プロの歌録音の現場で日々行っているディレクションをもとに音楽を分析したものです。題材として取り上げている音楽やアーティストには敬意はありますが敵意はありません!むしろ好きです!!