早十昊平のボーカルコーチング_015
今日の題材は
福耳で
『10 Years After』
杏子さん、山崎まさよしさん、
スガシカオさんの3人のユニットです。
超豪華ですね。
アルバムもおすすめです。
http://www.office-augusta.com/fukumimi/discography/
まずAメロを聴いてみて下さい。
Aメロの歌詞です。
『真夏の風が今年も到来
星降る夜に 早鐘のココロ
思い出すのは 奇跡の再来
あなたといられることに感謝』
さて問題です!
58〜9個の文字(≒音符)があるのですが、
そのうち音程が合っているのは
いくつでしょう(笑)
という訳で、
今日は音程の話です。
この歌には、
ポルタメント(音程を次の音に繋げる奏法)や
語尾を音程にせず、
話し言葉のように「投げている」箇所も
たくさんありますし、
単純に“当たっていない音”
つまり正確でない音程も
たくさんあります。
『真夏の』の『の』
『今年も』の『も』
『星振る夜』の『るよ』
あたりは、
完全にフラット(低い)ですね。
(杏子さんは“フラッター(低めの人)”ですね)
でも、
最初に聴いたときに
「この人音程悪いなぁ〜」
と思ったでしょうか?
クラシック系の勉強をされてきた方は
思うかもしれませんね。
でも私は、
これがこの歌の味であると思うので、
「音程悪いなぁ」
とはまったく思いません。
録音エンジニアとしての耳で聞いたから
音程がズレていることに気づいたのであって
いち音楽好きとしては、
全く気にもならないのです。
どちらが多数派かと言う話は置いておいて、
これをかっこいいと思う人が
この歌のファンになる訳です。
歌がうまくなりたい人は、
音程を合わせる
リズム(時間軸)を合わせる
声を出す
この3点に焦点が集まりがちですが、
音程は、歌のうまさを決める
いくつかある要素の一つに過ぎない
というのが
私の考え方です。
かっこ良ければ音程なんて、
外れててもいいのです!
そんな音楽は多々あります。
ただし、
当てないとかっこ悪いところは
しっかり当てる必要がありますよ!
このさじ加減は
歌い手と、メロディと、歌詞によりますので
何とも言えません。
しかし
ピッチ(音程)の正しい歌が
全部が全部、良い歌とは言い切れません。
「しっかり音程を取れるようになってから
かっこよさを出す為に崩していく」
という順序をオススメしています。
そうすることによって
引き出しや技を、
たくさん増やし、そして試し。
それらを自由自在に操れるようになります。
ではまた!
このブログは、録音エンジニアで音響家の早十昊平が、人様の歌に好き勝手にケチをつける、、、じゃなかった、プロの歌録音の現場で日々行っているディレクションをもとに音楽を分析したものです。題材として取り上げている音楽やアーティストには敬意はありますが敵意はありません!むしろ好きです!!