早十昊平のボーカルコーチング_034

今日取り上げる曲は

相対性理論の

『ムーンライト銀河』

です。

まずはリラックスして
1コーラスお聴き下さい。

 
 

 
『ぎんぎん銀河の果ての ムーランルージュで歌う
わたし 今夜は気取って ダンスを踊る
段々恋するあの子 You can do 夢つなぐ
気持ち 今夜は決まって パルスを揺らす

Midnight 3時の破天荒 湾岸道路を走る
わたし 今夜は気取って タイムをつなぐ
たんたん短気なあの子 散々恋した後のまつり
今夜は暇?って チャイムを鳴らす

二人を見下ろす摩天楼
ショータイムの終わりを 告げる
舞台を彩るアテンション
ワンナイトの帳を 開ける』

 
ウィスパー(ささやき声)ですね。

 
音程はとてもしっかりしてます。

それ以外も気になる部分や
ひっかかる部分はありません。

こういうコンセプチュアルな作品は
良いとか悪いとかではなく、
そのコンセプトに
沿えたかどうか、

そしてそれを
気に入ってもらえるかどうか

ですからね。

 
 

ちょっと話が逸れますが、

芸術とエンターテイメントの違いって
何だと思いますか?

あくまでも私見ですが、
 

芸術は、

自分の思うがまま好き勝手に作って、
それを好きになった人や評価した人が
ファンとして付いてくる

という形で成り立つもの。

 
エンターテイメントは、

自分がやりたいことをやりつつも、
誰かに観て(聴いて、感じて)もらうことを
前提として作るもの。

 
始めから、お客さんを
意識するのがエンターテイメントで、
意識しないのが芸術、

といったところでしょうか。

 

エンターテイメントの場合は、
そのお客さんに、

感情を揺さぶられるような高揚感や、
人生の豊かさ、幸福感を
味わってもらえるよう、

あれこれと手を尽くすのが
作り手の役目だと思います。

 
 

このバンド、
「相対性理論」は、
考え方によっては
芸術に近いのかもしれません。

「好きな人だけ付いて来て」

という、媚びない姿勢が感じられます。

 
 
このような歌い手の
ディレクションをするならば、

ウィスパーで歌っているからこそ、
言葉が伝わるように発音出来ているか、
全ての文字をチェックする必要があります。

 
言葉が伝わるように、
というよりは、

“抜け落ちている音がないか?”

のチェックですね。

抜け落ちるとは

 
【必要以上に小さくなり聞こえづらい音】

 
【滑舌が悪く子音が聞き取りづらい音】

 
そんな音が無いかどうかのチェックです。

 
そういった立場で聴いていくと、
録音や練習のときに、
アドバイスできることはたくさん出てきます。

これは完成品の音源なので
ありませんでしたが、
録音中は何か所か
あったかもしれないですね。

 
もちろん、歌い手の意見をよく聞いて、

・歌詞を届けたいのか?
・雰囲気重視で歌詞をワザと曖昧にしたいのか?

どちらに進みたいかを理解する必要はあります。

 
歌詞が聞こえないことが
ダメなのではなく、

意図せずに歌詞が聞こえなく
なってしまうことがダメなんです。

 
このような曲に出会ったときは
歌が完成するまでの過程を
少し想像してもらえたら、
見えてくるものがあるはずです。

 
 
ではまた!

 

このブログは、録音エンジニアで音響家の早十昊平が、人様の歌に好き勝手にケチをつける、、、じゃなかった、プロの歌録音の現場で日々行っているディレクションをもとに音楽を分析したものです。題材として取り上げている音楽やアーティストには敬意はありますが敵意はありません!むしろ好きです!!