早十昊平のボーカルコーチング_044
今日取り上げる曲は
miwaさんの
『360°』
です。
まずは、なるべく映像を見ずに
1コーラス聞いて下さい!!
歌詞は眺める程度でお願いします。
(読み込まないでください)
『(頭サビ)
360°どこでも行けるさ
わき起こる感情 自由を手にして Change my life
ねえ気づいて あなたは特別な存在なんだよ
手と手と手と手 世界は輝いてる!
(Aメロ)
さあドアを開けて 息をすいこんで
準備はOK? 飛び出してみよう
勇気をあつめて やさしさ溶かして
空のキャンパス 夢を描こうよ
(Bメロ)
one little kiss little kiss 胸の鼓動(come with me now)
ペガサスにのって星をわたろう
(1サビ)
360°どこでも行けるさ
わき起こる感情 自由を手にして Change my life
ねえ気づいて あなたは特別な存在なんだよ
手と手と手と手 世界は輝いてる!』
今日は、“ダメ出し”をしてみます!
どういうことかと言うと、
レコーディングで歌い手さんが歌ったときに
こちらサイドが行うディレクションの
基になるチェックを行う
という意味ですね。
ちなみに今初めて聴いた曲なので、
第一印象で書いていきます。
【良いところ!】
Aメロの声が笑声
(笑っている顔を想像出来る声)
Bメロ1行目で
少し大人の声に変化しているので
歌い手の感情が内側(自分の心)に
向いているように感じる
Bメロ2行目で、
明るい声に戻し、
『ほし』の『し』や
『わたろう』の『わ』
ここの音程をポルタメント(※)
することによって
さらに可愛さアピールしつつ
音楽的な面白い要素も入れている!
【改善したいところ】
サビの『わき起こる感情』あたりが
苦しそうに聞こえてしまう。
可愛さを出せないなら、
かっこよさを出すとか、
もう一工夫欲しいかも。
サビが、スピード感に欠ける。
彼女自身、
声の立ち上がりが遅いので、
「固い」「鋭い」といった声が
出しにくいんだと思います。
なので、
もう少し言葉ひとつひとつを
スタッカートにしてみるとか…?
そんな工夫もしてみたいです。
『手と手と手と手』
の部分を聴くと、
早口が苦手なんだということが
想像出来ます。
以上です。
何度も聴いていくと。
もっと細かいところに耳が行き、
長所も短所も、
もっと浮かび上がってくると思いますが、
リアルに1回しか聴いてません!!!
レコーディングならば、
これらを基にして、
良いところを伸ばし(残し)つつ
改善するところに着手します。
あなたは、
パッと聞いたときに、
何を感じましたか?
「かわいい」
「付き合いたい」
「ぶりっ子な声」
「あんまり好きじゃない」
などと思ったかも知れませんが(笑)
そういった目線ではなく、
彼女が自らの個性をどう活かしているか
(もしくは活かせていないか)
その個性で
自分に取り入れられる部分はあるか?
私だったらこう歌おうかな!
なんていう風に考えながら聞いてみると、
自分の“引き出し”は増えていきます。
第一印象も大切にしつつ、
何度か聞いてみて
人の歌の良いところを真似したり、
それについて考えたりしてみてください。
身になります!
※ポルタメントとは、
ある音から別の音に移る際に、
滑らかに徐々に音程を変えながら
移る演奏技法(Wikipedia)
です。
「しゃくり上げ」とか、
「しゃくり下げ」とか、
録音現場では言いますね。
(業界用語です。変な日本語ですね)
今回出てきたのは、
「しゃくり下げ」です。
ではまた!
このブログは、録音エンジニアで音響家の早十昊平が、人様の歌に好き勝手にケチをつける、、、じゃなかった、プロの歌録音の現場で日々行っているディレクションをもとに音楽を分析したものです。題材として取り上げている音楽やアーティストには敬意はありますが敵意はありません!むしろ好きです!!