早十昊平のボーカルコーチング_042

今日取り上げる曲は

鬼束ちひろさんの

『流星群』

です。

今日はあえて歌詞を書き出しませんので、
まずは、なんとなく、1コーラス、
聞いてみてください。

 
この曲についてのテクニカルな話はしません。

その手前の

“あたり前”

の話をします。

 
 
 

歌は音楽の一部です。

オケ(楽器)も音楽の一部です。

ひとつに合わさって完成します。

誰かが自分勝手ではならないのです。

 

この曲は、

 

歌とオケが常に寄り添っています。

 

一緒に盛り上がり、

一緒に収束し、

一緒に進んでいきます。

 

当たり前ですね(笑)

 

でも、この“当たり前”を作り出すのが
難しいんですよ。

 

完成された曲を聴くと
“当たり前”と思えるかもしれませんが、

オリジナル楽曲などで
ゼロから作り上げる場合は
苦労します。

バンドと一緒に演奏出来る場合は
良いのですが、
カラオケが先に出来上がってしまうと
歌うときにズレが生じます。

 
 
 

この曲のAメロとサビでは
オケに音量の幅(差)がありますね。

 

でも、
ただただ、音量を大きくしたり
小さくしたりしているのではなく、

 
「強く」「弱く」
「熱く」「冷たく」
「固く」「柔らかく」
「力強く」「優しく」
「目の前の人に向けて」「遠くの人に向けて」

 
など、
その「音の感情」を読み取り、

それを声に乗せていかなければ
なりません。

音の大小じゃないんです。
 

歌い手は

「熱く」歌っているつもりでも

聴いている側が、
そのように感じてもらえるかは
わかりません。

 

この曲のサビは、
「強く」もあり「さびしく」あり、
私は、そんな風に感じます。

 
それが、
オケと歌、両方から同じように
感じられますので、
聴いていて気持ちがいいのだと思います。

 
 

もう一度曲を聴いてみて下さい。

 
歌詞や歌い手の見た目に
とらわれず、

“音そのもの”

から感じ取れる感情に
注意して聴いてみて下さい。

 
 

どんな感情を感じ取りましたか?

もしかしたら言葉では説明出来ない
感情かもしれませんね。

 
それで良いんです!

 

歌い手や作り手が
何を表現したかったか、

ではなく、

 
聴き手が抱いたイメージこそが「正解」です。

 
正解というより、
コントロール出来ない「事実」…ですね。

 

 

【歌い手がイメージさせたい感情】

それと、

【聴き手が実際にイメージした感情】

 
このふたつがリンクしてくると、
一気に歌い手と聴き手の距離が
縮まります。

 

抽象的な話ですみません。

でも、音楽の原点の
大事な部分だと思います。

 
 
歌い手は、

オケが持つ感情を理解して、

それに寄り添う声を作り
歌い方を作り

聞き手に何かをイメージさせる

 
言葉では簡単ですが、
これは本当に難しい作業ですね。

 
 

もし
イメージを伝える自信がないのなら、

歌う前に、

「この曲から切なさと強さを
感じて下さい!」

と、宣言してみて下さい。

 
聴き手は冷めます(笑)

 
 

ではまた!

 

このブログは、録音エンジニアで音響家の早十昊平が、人様の歌に好き勝手にケチをつける、、、じゃなかった、プロの歌録音の現場で日々行っているディレクションをもとに音楽を分析したものです。題材として取り上げている音楽やアーティストには敬意はありますが敵意はありません!むしろ好きです!!