母音によって音量は変わります

母音によって音量が変わる

というか、

“あえて変えて歌う”

必要があることを
歌い手のあなたはご存知ですか？

必ずしもそうしなければならない
という訳では無いのですが、

母音と音程と音量の関係は
知っておくべきです。

少なくとも、マイクを使って
歌うのであれば、
歌い手さんには必須項目だと思います。

今日はそんなお話です。

まず『フォルマント』と
いうものがあります。

音色を特徴づける
周波数成分のピークのかたまり

の事です。

（何のことだかよくわからないですよね..）

人の声の場合は、

声道内の空気の共鳴周波数に
対応する倍音群

です。

（ますます分かりませんね..）

もう少し平たく言うと

のどから口と鼻にかけての
空洞の響きによってできる音色

のことです。

このフォルマントによって、
音の違い（音色）が決まります。

声の特徴、音の特徴を決める
要素のひとつ

ということです。

そしてフォルマントは
母音によっても変化します。

まず、
日本語の母音を発音した時に響く
周波数（音の高さ）を
女性の平均で見てみると

「あ」…F1=900Hz / F2=1400Hz
「い」…    300　/　2700
「う」…    400　/　1600
「え」…    500　/　2300
「お」…    500　/　1000

となります。

F1(第一フォルマント)…１つ目のよく響く周波数
F2(第二フォルマント)…２つ目のよく響く周波数

です。

そこで、音程感のあるF２に
注目してみます。

高い音から順に並べ替えると、

「い」…2700
「え」…2300
「う」…1600
「あ」…1400
「お」…1000

となります。

ここで下の画像をご覧下さい。

フォルマントとラウドネスの関係

まずこの青色の表の部分は
我々音響屋が勉強し始めた頃に習う
「等ラウドネス曲線」というものです。

何を表しているかというと、

低い音から高い音まで順番に鳴らした時に、
人間が「同じ大きさ」と感じる音量の違い

です。

またまた意味が分かりませんね（笑）

簡単に言うと、、、

人間が「同じ大きさの音だ！」
と感じる音量を仮に「10」とします。

低い音（表の左の方）は
より大きなパワーで音量を上げないと
「10」の音量に感じられず、

グラフの凹んでる部分（3000Hzぐらい）は
小さな音量でも「10」と感じられる。

ということです。

グラフが上にあるほど
聞こえづらい音域というです。

つまり、

同じ音量と感じてもらうには、

総じて低い音は
より大きなパワーが必要なんです。

グラフの右の方が上がっているのは、
モスキートトーンなどと言われる
高音域の部分で、
こちらもパワーが必要ですが、
人間の声では出せません。

「横線が何本もあるのは何？」
「赤と青の違いは？」

とかの質問は、今は省略します！！

で、

先程の母音の話に戻りますが、

この表の

「い」…2700Hz
「う」…1600Hz

を指している矢印は、

「い」の方が低くて、
「う」の方が高いですよね。

つまり

「い」の方が「う」に比べると
小さい音量
小さなパワーで
同じ大きさに感じられる

ということです。

具体例をあげると、、

１番の歌詞が

「会いたい〜」

２番の歌詞が

「かがやく〜」

だったとします。

（なんとなく
サビの終わりとかで、
音をのばしているところを
イメージして下さい）

その２箇所を同じパワーで歌っていると、

１番の「会いたい」の「い」に比べて
２番の「かがやく」の「く」は
小さくなります。

「い」を丁度良い大きさで
歌っているとすると、

「く（う）」は、ちょっと頑張って
大きな音を出さないと、
同じ音量にならないんです。

ただしこれは、
音程によって変わるので、
これが正解、
と言えない部分もあります。

まず知って欲しいのは

母音によって音量が変わる（こともある）
ということです。

このことを頭に入れて、
１文字１文字、1音1音を
大事に歌って欲しいのです。

まとめ↓

細かい理屈はどうあれ

「あ」を基準にしたとき、
「い」とか「え」はうるさくて
「お」は少し聞こえ辛くて
「う」はもっとも聞こえ辛い

と思っていれば、
とりあえず正解です。

もちろん色々な条件
（音程、全体的な音量、個人の声質など）
によって変わってきます。

あくまでも基本形として
頭に入れておいてください。

役立つ瞬間が必ず来ますよ(^^)