スニークイン
「sneak(スニーク)」
コソコソする、という意味。
靴のスニーカーと同じ語
(直訳すると「足音のしない靴」です)
音響での「Sneak in」は、
気づかれないように音量を上げること。
無音から、徐々にBGMを足していく
という場合もありますし、
音の途中から上げていく場合もあります。
この言葉自体、あまり使わないんですけどね。
「盗んで(音量を)上げる」とか言います。
以前、ご縁があって、
小学生の謝恩会の
音響オペレートをする機会がありました。
卒業式の後の、
先生、児童、父兄の皆さんが
揃ったイベントなので
涙もあろうかと。。
(もらい泣きしそうでした)
そして、会の最後の方に、
想い出のスライドを観ながら、
想い出の曲をみんなで歌う、
という場面がありました。
さぞかし全員で大声で歌い、
涙ナミダの場面になるのかと思いきや、、、
あれ?そうでもない、、、
スライドは見ているが、
あんまり歌ってない。
歌うきっかけをつかめなかったのか、
歌いだす人が少なかったので、
歌う感じにならなかったのか、
そんな状況でした。
あれ?
観てるだけで盛り下がってる?
そこで音響さん、考えました。
この曲が後半に進むほど
盛り上がることは
感動の場面での曲ですから
音楽的にも内容的にも想像がつきました。
ならば、
ちょっとずつ音量を上げ、
ちょっとずつ低音を増す
それも、聴いてる人に
バレないようにバレないように少しづつ………….
例えば、
サビ前のちょっとした「Fill(ドラムのオカズ)」や
「ストリングスの駆け上がり」を利用して、
そこでフェーダーをチョビチョビ上げていきます。
そしていい感じに盛り上がるべき
サビで、
「ど〜ん!!」
と盛り上がるように仕向けました。
最終的には、音量だけでなく、
子供達の気持ちも盛り上がり、
それなりの場面になりました。
もちろん、私のおかげで
盛り上がったのかどうかは分かりません。
やらなくても盛り上がった可能性も
多分にあります。
でも、
見ている人を、
知らないうちにその気にさせる、
そんな技を駆使して、
感情を揺さぶるのも我々の仕事です。
音響をやっている人からすると、
わざわざ言うような事ではありませんが、
常に「脳の無意識側」への
アプローチを考えていますよ、
というお話でした。