聴覚は自動的に補正をしながら聞いている

 
人間の聴覚は、
良い意味でいい加減に出来ています。

会話をすべて聞き取れていなくても、
予測して理解することができます。

これを

『言語的予測』 とか
『言語的常識』 と言います。

例えば、

「昨日、八百屋さんで人参を買った」

と言われたとき、

「昨日、_おやさんで、__じんを買った」

としか聞き取れなかったとしても、

八百屋と人参は、穴埋めをするように
聞き取ることができるのです。

これは、自分の経験に基づいた
「常識」から予測を立てるので
脳の経験の成せる技と言えますね

なので、
子供や日本語を覚えたての外国人には
難しいかもしれません。

 
脳にはこれと似たような機能で、

音声を細切れに聞いても、
それを穴埋めして理解してしまう

そんなものもあります。

例文ではわかりにくいので、
とりあえずこちらの音声を
聞いてみてください。

左の三角の再生ボタンを
押してください。
(少し時間がかかるかもしれません)

 

 
ある文章を録音し、
それをブツ切りにしてみました。

この時点では、
分かる人、分らない人、
半々ぐらいでしょうか?

 
 
続いてこちらを聞いてみてください。

 

 
音声そのものは1つ目と同じものですが、
切れていたところに「ザー」という
ノイズを入れました。

こうすると、
何を言っているのか
分かるようになった人も多いと思います。

 
間の部分をノイズで穴埋めした以外は、
最初に聞いていただいた音声と
同じものです。

これだけでも分かるようになるんです。

 
ちなみに正解は、

「皆様のご来場を
心よりお待ちしております。
お電話ありがとうございました」

でした。

 
そこでもう一度、1つめの音声を聞いてみて下さい。
 

 
正解を知ってしまうと、
もう”それ”にしか聞こえないと思います。

これも脳の特性ですね。

 
 
聴覚は自動的に補正をしながら
音を捉えているんです。

なので、騙されやすくもあるんです。

音響屋は、
こういうことを知っているので
聞き手を騙すような音作りを
したりもするんですよ(^^)