音量と音質から感じ取る空間
人間は、
音の大きさや質感などから、
“無意識”に
距離や空間の広さなどを検知しています。
簡単な例を挙げると、、
電話先の相手がどこにいるのか、
部屋、廊下、屋外、雑踏、、
声の響き具合や、雑音の感じから、
なんとなく分かることもありますよね?
(アナログ電話の時代の方が
分かりやすかったんですけどね…)
実際にはもっと細かいところまで
無意識に聞き分けているのですが、
生活上、必要じゃない情報と
脳が判断するので、
意識することが無いんです。
ただ、我々音響エンジニアは、
意識しない訳には行きません!
例えば、
MA(映像に音をつけていく作業)を
やるときなどは、画面に映った空間と、
実際鳴っている”音の空間”の
大きさや響き具合が違うと、
映像が嘘っぽくなったり、
映像が安っぽくなったり、
内容がつまらなく感じたりするのです。
音がおかしいと
映像に影響を与えるんです。
大問題です。。
もちろん音を上手く調整すれば
作品の総合的なクオリティは
格段に上がります。
“違和感のない音量と響き”
これを作っていくのです。
他にも、
舞台をやるときに、オムニバスの音楽
(あちこちから寄せ集めた音源)を
使用するときにも、
それぞれの音楽の質感を整えないと、
落ち着いて観ることができません。
ひとつの演目の中に
同じ曲が2回出てくるときも、
それぞれに合った音量と音質に
微調整していきます。
微調整なので、
やらなくてもいい作業と
思われることもありますし、
周りからは「無駄な時間」なんて
言われたりもしますが、、、
人間の脳がその違いを
無意識に感知し
さらに評価に影響を与える
という事実がある以上、
手を抜く部分ではないんですね。
音質の均一化作業は、
とても地味ですが、
音響屋の核になる作業なんです。