「音程の正しい歌=上手い歌」ではありません!

世の中に出回っているCDなどの歌は
手直しが入っている、

そして

ピッチ補正と言う作業が
一般に知られるように
なったために生まれた誤解です。

 
「音程の正しい歌=上手い歌」

 
これは必要条件ではありますが、
十分条件ではないのです。

音程は歌のうまさとは、
直結はしていないんです。

 
そもそも

『計測して正しい音程が良い』

という概念が音楽には全く必要ありません。

 
『聴いて良いか悪いか?』

それだけです。

 
ただ、

聴いて良いと感じるものが、
計測して正しい音程に近い事も事実です。

音程が良いに越したことは
ありませんからね。

 
とは言え、

音程やリズムの数学的な正しさに
向けて、歌を直しても。
人の心に響く歌にはなり辛いのです。

(経験上はならないと言い切れます!!)

 
例えば、音程が、正しい位置から
どれぐらい、どのように外れて、
どのようにアプローチをして、
どのように収束し正しくなっているか、

そこがポイントです。

つまり、

正しくない瞬間がないと、
歌はうまく聞こえないのです。

 
歌のジャンルによって
それぞれ特徴(音の外し方など)はあるので、
我々のような専門家は、そこを
絶対押さえておくべきなのですが

歌い手さんも知っておいて
損はないですね。

 
我々録音エンジニアは

「歌の直し=ピッチ補正」

とは考えてはいません。

 
音量を変えるのか
強弱を変えるのか
タイミングを変えるのか
テイクそのものを変えるのか
一言(一文字)だけイコライジングするのか

 
引き出しはあればある程良いですね。

 
これはそのまま歌い手さんにも通じます。

 
歌が上手いと感じる要素は
音程以外にもたくさんあるのですから、
上手いと感じさせる技術と感性を
養い続ければ良いのです。

そうすれば必ず
豊かな表現力が身に付きます。