声の表情のつけ方
昨日の記事『声の表情』について
さっそく
「具体的にはどういう練習を
すれば良いのですか」
質問をいただきました。
笑顔を作って声を出すと
明るい声が出やすい
という話はしましたが、
それだけでは不十分なんですね。
私のトレーニングでは、
“声の表情の引き出し作り”
を、まず最初に行います。
簡単に言えば、
あなたがどのぐらいの
種類の声を出せるのか
を知る作業です。
なので出したい声の表情を、
最初に決める必要はありません。
声を出す方法を変えて
何種類も発声してみて
それを録音して聞いてみて
「これは明るさの中に
やさしさが見え隠れする声だね」
「これは真剣なまなざしを感じるね」
なんて風に評価していきます。
歌い手さんも、私も、
何が出てくるか分からない状態で
出てきたものを分類分けしていくのです。
そしてそれを操れるようになれれば、
声の表情の種類は増えていきます。
私からの指示としては、
イメージ先行の歌い手には
「明るい声を出して」
「楽しい声を出して」
そして、
嬉しい声
切ない声
悲しい声
哀愁のある声
真剣な声
まっすぐ前を見据えた声
遠くに向けて発した声
近くに向けて発した声
と録音し続けていきます。
その後、
それらを聞き返した時に
どのように感じるかを
フィードバックしていきます。
面白いことに、
ほとんどの場合、
歌い手が発声した通りの
印象を受けないんですね。
真剣な声として発した声が
悲しい声に感じられたり、
嬉しい声が、
近くに向けた声に感じられたり、
そんな状態になります。
本人の発声した時の意思と、
聞き手の印象のギャップを
洗い出していく作業をすることで、
自分の声の表情ひとつひとつを
明確なものにしていきます。
「こうやって出すと、
明るい声に聞こえるんだ!」
という発見をしてもらうんですね。
また、理論的に
発声をしたい歌い手には、
共鳴腔の場所を変えて、
同じように、
明るい声、切ない声…
と出してもらいます。
発声法を少しずつ変えていく
感じですね。
鼻腔寄りにしてみる、とか、
チェスト(喉)の響き多め、とかです。
もし一人で行う場合は、
自分で発声し、それを録音し、
それを後から聞き直して、
本当にそう感じるのか、
じっくり聞いてみてください。
第三者に判断してもらうのも
有効な手段です。
その際は音楽好きな人を
選んでくださいね。
(個人的には第三者の意見の方が
正しい気がしてます。)
そして、
声の表情の引き出しが
増えてきたところで、
実際の曲に
声の表情を乗せていきます。
今までと違ったアプローチで歌ってみて、
印象がどう変わるのか
一番楽しいところですね!
さらに、
フレーズ単位や、一音(ひと文字)単位で、
歌い方を変えていくと、
また違った表情が見えてきます。
実際に、一音単位で表情を
変えることは難しいと思いますが、
ちゃんとした機材で録音しながらだと
そんなことも簡単にできちゃいます。
そうやって歌を作り上げていくと、
表情豊かな「お手本」が出来上がります。
最終的には、その「お手本」を
真似して歌えばよいのです。
(自分の歌なのですぐに真似できます)
私はレコーディングの現場で時間のある時は、
このようなことをしています。
そんなやり方もあるんだと
知っておいていただけたら幸いです^^