言語的予測、言語的常識
「蟻(アリ)が東西マス」
この文章、普通に読めば、
ほとんどの人に、
「ありがとうございます」
と聞こえます。
(日本語わかる人限定です)
人間は言葉を予測して聞いています。
一文字一文字がハッキリ聞こえなくても、
「この場面でこの文章ならこの単語だろう」
と予測しています。
これは人が成長するとともに
オートマチックに備わる
脳の機能です。
だから、聴き間違いや聞きづらさを
瞬時に修正出来ますし、
もちろん、会話の前後と
関係ない単語に聞こえ、
”予測変換”ができなかった場合は、
聞き返して確認することになります。
こんな会話があったとします。
「昨日、道を歩いていたら、
クルマにひかれそうになってヒヤッとした」
もしこれを聞いた人が、
「昨日、道を歩いていたら、
○ルマにひかれそうになってヒヤッとした」
と、○の部分が
聞き取れなかったとしても、
会話は成立する可能性が高いです。
これは、
道を歩いていて、ひかれそうになるものは、
クルマかその類の物しか思い浮かばないのと、
○ルマに似た他の単語が
あまり思い浮かべられないからです。
つまり
常識の範囲内での推測が成り立ちます。
言語的に不自然でなく常識なものを
予測するのです。
では、
「きのう、道を歩いていたら、
サンマにつまづいて転んだ」
これだとどうですか?
サラっと言われたら、
理解できないはずです。
「え?サ、サンマ?」
「タ?タンマ?」
「今なんて言った??」
などと聞き返すことでしょう。
言語的予測の範囲を超えたものは
すんなりとは理解出来ません。